アクリル絵の具の使い方のコツ。水の量と乾かし方で決まる

acrylic-paint-how-to-use アクリル絵の具
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アクリル絵の具の使い方のコツは、水の量と乾かし方の2つに尽きます。水は絵の具の2割までにして、下の色が乾いてから重ね、筆とパレットは乾く前に片付ける。この3つを守るだけで、初めての人がつまずく「ムラになる」「色がにごる」「筆が固まる」の大半は起きなくなります。アクリル絵の具は水彩より扱いが楽で、油絵の具より早く乾き、紙のほかに木や布や石にも描ける絵の具です。

画材メーカーの説明、画材店のブログ、絵画教室の解説を合わせて6本読み比べ、絵の具の性質、そろえる道具、使い方のコツを7つ、よくある失敗と直し方まで、初めて絵の具を買った人が読めば分かるところまで書きます。

アクリル絵の具とは。乾くと水に溶けなくなる絵の具

水彩・油絵の具・アクリルガッシュとの違い

絵の具 溶くもの 乾く時間 乾いたあと 向く人
アクリル絵の具 水 5〜30分 水に溶けない。少しつやがある 重ね塗りで描きたい、紙以外にも描きたい
アクリルガッシュ 水 5〜30分 水に溶けない。つやが無く、下の色を隠す ベタ塗り、ポスター、イラスト
水彩絵の具 水 5〜10分 水に溶ける。透ける にじみやぼかしを楽しみたい
油絵の具 油 1日〜1週間 油に溶ける。厚みとつやが出る 時間をかけて描きたい

アクリル絵の具は、色の粉をアクリル樹脂で固めた絵の具です。塗っているときは水で溶けますが、水分が抜けると樹脂が固まり、そのあとは水をかけても溶けません。この性質が、重ね塗りしても下の色が動かない理由であり、筆やパレットに残すと固まって取れなくなる理由でもあります。同じアクリルでも「アクリルガッシュ」は下の色を隠す力が強く、つやが出ない種類です。透ける表現をしたいなら普通のアクリル絵の具、ベタ塗りならガッシュを選びます。

乾く時間の目安。薄塗りで5〜10分、厚塗りで30分以上

水で薄めて塗った層は5〜10分で手に付かなくなり、チューブから出したまま厚く塗った層は30分から数時間かかります。表面が乾いても中まで固まるには1日ほどかかるので、描き終えた絵を重ねたり袋に入れたりするのは翌日にします。夏の乾いた部屋では、パレットに出した絵の具が10分で表面から固まり始めます。

道具は5つ。絵の具、筆、紙パレット、水入れ2つ、ぞうきん

  • 絵の具:12色のセットで足りる。白は一番減るので、白だけ大きいチューブを1本足す
  • 筆:平筆の太いのと細いの、丸筆の細いのの3本から。ナイロン毛が洗いやすく安い
  • 紙パレット:乾いた絵の具は洗い落とせないので、1枚ずつはがして捨てる紙のパレットが楽。牛乳パックを開いたものでも代わりになる
  • 水入れ2つ:1つは筆を洗う用、1つは絵の具を薄めるきれいな水用。洗う水で薄めると色がにごる
  • ぞうきんかキッチンペーパー:筆の水分を調節するのに毎回使う

紙は画用紙で始められますが、水を多く使うと波打つので、厚口の画用紙か、アクリル用に下地が塗ってあるキャンバスボードを選ぶと扱いやすくなります。

コツ1 水は絵の具の2割まで。薄めるならメディウム

アクリル絵の具に混ぜる水は、絵の具の量の2割までが目安です。水が多すぎると、樹脂が足りなくなって紙への付きが弱くなり、乾いたあとにこすると粉になって落ちたり、ひびが入ったりします。水彩の感じで透かせたいときは、水ではなく「メディウム」という透明な樹脂液を混ぜると、付きを保ったまま薄められます。チューブから出したままの固さは、平らな面をムラなく塗るには硬すぎるので、筆に含ませた少量の水でクリーム状にゆるめるのが基本です。

コツ2 筆は濡らして絞ってから絵の具を取る

乾いた筆に絵の具を取ると、毛の根元に絵の具が入り込んで固まり、筆が開いて使えなくなります。筆は先に水で濡らし、ぞうきんで軽く絞って「湿っているが水が垂れない」状態にしてから絵の具を取ります。筆がびしょびしょだと絵の具が薄まりすぎて、乾いたときに色が抜けて見えます。筆跡が目立つときは水が足りず、絵の具が流れるときは水が多い、と覚えておくと調節できます。

コツ3 パレットに出すのは少量ずつ。霧吹きで乾きを遅らせる

アクリル絵の具はパレットの上でも乾くので、チューブから出すのは小豆1粒から大豆1粒ほどの量にして、無くなったら足します。一度に多く出すと、使い切る前に表面から固まって無駄になります。長く描くときは、100円の霧吹きでパレットに水を吹くと乾きが遅くなり、パレットの上に湿らせたキッチンペーパーを敷いてから紙パレットを置く方法も効きます。乾くのが早すぎて困るなら、「リターダー」という乾きを遅らせる液を絵の具に1割ほど混ぜます。

コツ4 重ね塗りは下が乾いてから。薄い色から濃い色へ

アクリル絵の具の一番の持ち味は、乾いた色の上に別の色を重ねても下の色が動かないことです。下の層が指で触って付かなくなってから(薄塗りなら5〜10分)重ねると、色が混ざらずにくっきり分かれます。乾く前に重ねると下の色が筆に付いてにごります。順番は、明るく薄い色を先に広く塗り、暗く濃い色を後から重ねると直しやすくなります。明るい色は下の暗い色を隠しにくいので、暗い色を先に塗ると上から明るくするのに何度も重ねることになります。

コツ5 色を混ぜるのは2〜3色まで。白で明るく、黒は少しだけ

色がにごる原因のほとんどは、混ぜる色が多すぎることです。パレットで混ぜるのは2色、多くて3色までにして、明るくしたいときは白を足し、暗くしたいときは黒ではなく反対の色(赤なら緑、青ならオレンジ)をほんの少し足すと、にごらずに沈んだ色になります。黒を混ぜると一気に色がにごるので、使うなら米粒より小さい量から試します。混ぜた色は乾くと1段暗くなるので、塗りたい色より少し明るめに作ります。

コツ6 下地はジェッソ。紙以外に描くときの決まり

木、布、石、プラスチックに描くときは、「ジェッソ」という白い下地材を先に塗ります。ジェッソは絵の具の付きを良くし、素材の色を隠して発色を上げる役目で、1〜2時間で乾き、1日置いてから描くと安定します。2回塗るときは、1回目が乾いてから軽く紙やすりをかけると平らになります。画用紙に描くだけならジェッソは要りません。キャンバスは「アクリル用下地済み」と書いてあるものを買えば、そのまま描けます。

コツ7 片付けは乾く前に。筆は水に浸けっぱなしにしない

  1. 描き終えたらすぐ、筆をぬるま湯で根元まで洗う。石けんを付けて手のひらでくるくる回し、色が出なくなるまで流す
  2. 筆の毛先を指で整え、寝かせるか毛先を下にして乾かす。水入れに立てたまま放置すると毛が曲がって戻らない
  3. 紙パレットは1枚はがして捨てる。プラスチックのパレットは、乾く前に水で流す
  4. チューブの口に付いた絵の具をふき取ってからふたを閉める。固まるとふたが開かなくなる
  5. 服に付いたら、乾く前に水と石けんでもむ。乾いたあとは落ちないので、汚れてよい服で描く

筆が固まってしまったときは、筆用のクリーナーか、消毒用のアルコールに10分ほど浸けてから石けんで洗うと、ある程度は戻ります。ただし根元まで固まった筆は戻らないので、描き終えたらまず筆を洗う習慣にします。

よくある失敗と直し方

困りごと 原因 直し方
ムラになる、筆跡が残る 絵の具が硬い、筆が乾いている 筆を湿らせ、絵の具を少量の水でクリーム状にして、同じ方向に塗る
乾いたらひびが入った、粉になる 水が多すぎる 水は2割まで。薄めるならメディウムを使う
色がにごる 混ぜる色が多い、下が乾く前に重ねた、洗う水で薄めた 混色は2〜3色、乾いてから重ねる、水入れを2つに分ける
紙が波打つ 紙が薄い、水が多い 厚口の画用紙かキャンバスボードにする。紙をテープで板に貼る
筆が固まった 洗わずに置いた クリーナーかアルコールに浸けて洗う。次からは描き終えてすぐ洗う
塗った色が思ったより暗い アクリルは乾くと1段暗くなる 少し明るめに作る。乾いたあとに白を混ぜた色を薄く重ねる

失敗した場所は、乾いてから上に塗り直せます。水彩と違って消せない代わりに、いくらでも上から重ねられるのがアクリル絵の具なので、気に入らない部分は乾くのを待って塗り直せば済みます。

アクリル絵の具は、水2割と乾かす時間を守れば扱いやすい

アクリル絵の具の使い方のコツは、水は絵の具の2割まで、筆は湿らせて絞ってから、パレットには少量ずつ、重ね塗りは下が乾いてから、混ぜる色は2〜3色まで、紙以外にはジェッソ、片付けは乾く前に、の7つです。どれも「アクリル絵の具は乾くと水に溶けない」という1つの性質から来ている決まりで、これさえ頭に置いておけば、初めての1枚からムラとにごりを減らせます。

まず、12色セットと平筆1本、紙パレット、水入れ2つをそろえて、はがきほどの紙に一色をムラなく塗るところから始めてみてください。水の量の感覚は、この1枚でつかめます。

この記事のアドバイザー
電山タケル
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
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