アクリル絵の具のプラスチックへの使い方|はがれない下地は3段階

acrylic-plastic-20260918 アクリル絵の具
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100円ショップの収納ケースやプラモデルにアクリル絵の具を塗ったら、乾いた後に爪でこすっただけではがれた。原因は絵の具ではなく、プラスチックの表面がつるつるで、油が残っていることにあります。アクリル絵の具のプラスチックへの使い方は、洗う、やすりをかける、プライマーを塗る、この3段階の下地で決まります。ただしポリエチレンとポリプロピレンは、絵の具のメーカーが「付着しない」と書いている素材です。先に底の記号を見てから始めてください。

底の記号を見てPEとPPを先に外す

塗る前に、そのプラスチックが何かを確かめます。ポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)にはアクリル絵の具が付かないと、ホルベインの公式ブログに書かれています。下地を作っても付かない素材なので、この2つは最初に外します。

種類は、容器の底や裏にある三角の矢印の記号で分かります。中の番号が1ならPET、2と4はPE、5はPP、6はPS(ポリスチレン)です。記号が無い物は、目立たない所に試し塗りをして、1日置いて爪で確かめます。

記号・素材 よくある物 アクリル絵の具の付き方 下地
1 PET ペットボトル、透明の食品容器 プライマーを塗ると付く 洗う、やすり、プライマー
2・4 PE レジ袋、バケツ、灯油タンク 付かない 別の塗料を選ぶ
5 PP 収納ケース、弁当箱、ボトルのふた 付かない PP対応のスプレープライマーで下塗りした物だけ試す
6 PS プラモデル、CDケース、食品トレー メーカーの表に無い。はがれやすい 洗う、やすり、水性プライマー。スプレーは溶ける
ABS おもちゃ、家電の外側、フィギュア プライマーを塗ると付く 洗う、やすり、プライマー
アクリル(PMMA) アクリル板、キーホルダー 付きやすい 洗う、やすり
硬質塩ビ パイプ、硬い下敷き 付きやすい 洗う、やすり
ポリカーボネート 透明の屋根材、硬いスマホケース 付きやすい 洗う、やすり

アクリル板、硬質塩ビ、ポリカーボネートは、洗ってやすりをかけるだけでも付きます。PETとABSは、プライマーを1回はさむと確実です。PSはプラモデルで塗る人が多い素材ですが、絵の具メーカーの対応表には載っていないので、はがれても困らない物から試してください。

PEとPPに付かないという記述は、2026年9月時点でホルベインの公式ブログ「色材の解剖学 ジェッソ」で確かめたものです。塗れる素材の一覧はメーカーごとに少し違うので、手元の絵の具のメーカーの案内も見てください。

洗って油を落とし、やすりで曇らせる

PEとPP以外と分かったら、下地の1段階目と2段階目に入ります。中性洗剤で洗って油を落とし、400〜600番の紙やすりでつやが消える程度にこする、この2つで絵の具が引っかかる面ができます。プライマーを塗る物でも、この2つは省きません。

プラスチックの表面には、手の脂と、成形のときに使う離型剤が残っています。ターナーのサポートページでも、はじく原因として油汚れと平らすぎる面を挙げ、洗剤やアルコールで落とすこと、サンドペーパーで表面を荒らすことを勧めています。洗った後は乾いた布で拭き、素手で触らずに縁を持ちます。

  1. 台所の中性洗剤とスポンジで全体を洗い、水で流す
  2. 乾いた布で水気を取り、30分ほど置いて乾かす
  3. 洗えない物は、消毒用アルコールを含ませた布で拭く
  4. 400〜600番の紙やすりで、一方向に軽くなでる。力を入れて削らない
  5. 削りかすを乾いた布で拭き取るか、水で流してもう一度乾かす

透明のまま残したい所は、やすりをかけずにマスキングテープで覆います。やすりの粉を吸わないように、窓を開けるかマスクをしてください。細かい部品は、綿棒に紙やすりを巻き付けると、塗る所だけをこすれます。

100円ショップのアクリル絵の具でも、塗れる素材と塗れない素材はメーカー品と同じです。違いは顔料の量で、隠す力が弱いぶん、重ねる回数を1〜2回増やすと同じ仕上がりになります。

プライマーは水性かスプレーかで選ぶ

下地の3段階目がプライマーです。室内で塗る小物は水性のプライマー、PPや屋外に置く物はスプレーのプラスチック用プライマーと使い分けます。どちらも薄く1〜2回で足ります。厚く塗っても付きは強くなりません。

水性は、ホルベインの「金属・ガラス用プライマー」が代表です。公式の案内では、金属、プラスチック、ガラス、陶磁器のような吸い込まない面に使うとされ、原液のままか水を10%まで足して1〜2回塗ります。ターナーの「メタルプライマー」も、絵を描く人がプラスチックの下塗りに使っている定番で、指で触れて乾くまで20〜40分、絵の具を重ねるまでは1日以上置きます。

スプレーは、アサヒペンの「プラスチック用プライマー」が手に入りやすい1本です。対応素材にポリプロピレン、ABS、PET、硬質塩ビ、アクリルが挙がっています。2026年9月時点の製品ページでは、乾く時間は夏30分〜1時間、冬1〜2時間で、上に塗るまで夏は2時間以上、冬は3時間以上空けます。PPに吹く前は、ペイントうすめ液を含ませた布で拭くのが手順に入っています。

アサヒペンのスプレープライマーは、ポリエチレン、ポリスチレン、発泡スチロール、ポリカーボネートには使えないと注意書きがあります。プラモデルやCDケース(PS)に吹くと表面が溶けるので、PSには水性のプライマーを使います。スプレーは屋外か窓を開けた場所で、新聞紙を敷き、マスクをして吹いてください。

絵の具は水を1〜2割にして薄く3回重ねる

下地が乾いたら、いよいよ絵の具です。水は絵の具の1〜2割まで、1回目は薄く、乾いてから2〜3回重ねるのが、はじかず割れない塗り方です。水を入れすぎると付きが弱くなり、1回で厚く塗ると乾く前に垂れて、乾いた後に割れます。

  1. パレットに使う分だけ出し、水を1〜2割足して、筆で伸びる固さにする
  2. 1回目は全体に薄く塗る。色ムラは気にしない
  3. 指で触って冷たさが無くなるまで乾かす。表面は10〜30分、中まで1時間ほど
  4. 2回目、3回目を同じ薄さで重ねる。ムラが消えて色が濃くなる
  5. 模様や文字は、下の色が乾いてから細い筆で入れる

黒や濃い色のプラスチックに明るい色を塗るときは、先に白を1回塗ってから色を重ねます。元の色が透けず、上の色がきれいに出ます。乾く時間はターナーの案内で、指で触れて乾くまで10〜30分、固まるまで1〜数時間です。急ぐならドライヤーの弱風を30cm離して当てますが、熱風はプラスチックが曲がるので使いません。

アクリル絵の具は乾くと水で溶けません。筆は塗り終わるたびに水で洗い、作業を止めるときも水に浸けたままにせず、洗って毛先を整えて置きます。間違えた所は、乾く前なら濡れた布で拭き取れます。

1日置いてからバーニッシュで守る

色を塗り終えても、そこで終わりにしないでください。最後の層から丸1日置き、アクリル用のバーニッシュを薄く1〜2回塗ると、こすれと水に強くなり、つやもそろいます。ターナーのサポートページでも、透明な上塗り材で傷と汚れを防ぎ、光沢をそろえることを勧めています。

バーニッシュは、つやあり、つや消し、半つやの3種類があります。絵の具の質感を残すならつや消しか半つや、光沢が欲しいならつやありです。筆で塗るタイプは柔らかい平筆で一方向に薄く1回、乾いてからもう1回で足ります。スプレータイプは、缶に書かれた距離を守って薄く吹きます。

毎日手で触る物や外に置く物は、2〜3回重ねます。水に浸かる面と口に触れる面は、アクリル絵の具では長くもたないので塗りません。コップや花瓶なら外側だけにして、食洗機と熱湯は避けてください。子どもと一緒に作るときは、絵の具を塗る工程だけを任せ、プライマーとスプレーは大人が扱います。

はじく・はがれる・割れるは原因が別

うまくいかなかったときは、症状で原因が分かります。はじくなら油、はがれるならやすりとプライマーの省略、割れるなら厚塗りが原因のほとんどです。乾く前なら濡れた布で拭き取れるので、はじいた時点で止めて洗い直します。

起きたこと 原因 直し方
絵の具がはじいて水玉になる 油が残っている。PPやPEに塗った 乾く前に拭き取り、洗い直す。PPとPEなら塗料を変える
乾いた後に爪ではがれる やすりかプライマーを省いた はがれた所をやすりで整え、プライマーから塗り直す
表面がひび割れた 1回で厚く塗った。乾く前に重ねた やすりで平らにして、薄く塗り直す
色ムラが残る 重ねる回数が足りない。水が多い 乾いてから薄い層を1〜2回足す
べたつきが消えない 湿度が高い。柔らかい塩ビの可塑剤 風通しのよい所で数日乾かす。柔らかい塩ビは試し塗りで確かめる
乾いた絵の具を落としたい アクリルは水で落ちない 消毒用アルコールを含ませた布でこする。先に隅で溶けないか試す

ソフビ人形のような柔らかい塩ビは、硬質塩ビと違って付きにくい素材です。可塑剤がにじみ出てべたつくこともあるので、人形の塗り替えは、はがれても困らない物で試してからにしてください。

裏側で試し塗りをして1日後に爪で確かめる

ここまでの下地と塗り方を、本番の前に一度だけ小さく試します。裏側の1cm四方に同じ手順で塗り、1日置いて爪でこすってはがれなければ本番に進めます。ここで確かめておけば、大きな面を塗ってから全部やり直す手間がなくなります。

  1. 底の記号を見る。PEとPPなら別の塗料にする
  2. 中性洗剤で洗い、乾いた布で拭き、素手で触らない
  3. 400〜600番のやすりで一方向に曇らせ、粉を落とす
  4. 水性かスプレーのプライマーを薄く1〜2回。乾く時間を守る
  5. 水1〜2割の絵の具を薄く塗り、乾かして2〜3回重ねる
  6. 丸1日置いて、バーニッシュを1〜2回
  7. 裏で試し塗りをして、1日後に爪で確かめてから本番

買い足す物は、紙やすり、プライマー、バーニッシュの3つだけです。絵の具は手元の物で足ります。プラスチックが何かを確かめるところから始めれば、はがれる失敗はほぼ防げます。まずは塗りたい物を裏返して、三角の記号を探すところからどうぞ。

この記事のアドバイザー
電山タケル
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
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