ミックスで音の住み分けがうまくいかないなら、まずEQを見直してみてください。 今回はDTMで使えるイコライザープラグインを5つ紹介します!
そもそもイコライザー(EQ)って何をするもの?
イコライザーは音の周波数バランスを調整するエフェクトです。 「この音の低域がモコモコするから削りたい」「ボーカルの中高域をもう少し出したい」みたいな場面で使います。

EQには大きく分けて「パラメトリックEQ」と「グラフィックEQ」の2種類があります。 パラメトリックEQは周波数・ゲイン・Q幅を自由に設定できるタイプで、DTMではこちらが主流です。
もう一つ覚えておくと役立つのが「デジタルEQ」と「アナログモデリングEQ」の違いです。
アナログモデリングEQ:実機の回路を再現。ブーストしたときに心地よい倍音が加わる。音に「色」が付く
グラフィックEQ:決められた周波数帯をスライダーで上げ下げ。ライブPAやマスタリングで使うことが多い
イコライザープラグイン5つを並べて比較してみた
| プラグイン名 | タイプ | 操作のわかりやすさ | 音の色付き | CPU負荷 |
|---|---|---|---|---|
| H-EQ | ハイブリッド | ★★★★★ | 選べる(5種) | 軽い |
| Q10 | パラメトリック | ★★★☆☆ | クリーン | 超軽い |
| GEQ | グラフィック | ★★★★☆ | クリーン | 軽い |
| eMo Q4 | パラグラフィック | ★★★★★ | クリーン | 超軽い |
| Pultec Passive EQ | アナログモデリング | ★★☆☆☆ | 濃い(倍音付加) | やや重い |

正直、EQは1つだけ買うならH-EQかeMo Q4がコスパ良いです。 Pultecは「音に温かみを足したい」という明確な目的がある人向けです。
イコライザープラグインのおすすめ5選
第1位:WAVES H-EQ Hybrid Equalizer

WAVESのハイブリッドEQです。 1つのプラグインの中に5種類のEQカーブ(US Modern、UK Vintage、Pultec風など)が入っていて、バンドごとにカーブを切り替えられます。
画面も見やすくて、周波数カーブをマウスでドラッグするだけで調整できます。 最初にこれを使ったとき「EQってこんなに直感的に操作できるのか」と感動しました!!! ボーカルの2kHz付近を少しブーストしたら声が前に出てきて、ミックスが一気にまとまりました。

アナライザー表示もリアルタイムで動くので、「今どの周波数が出すぎているか」が目で見てわかります。 耳だけで判断するのが難しい初心者には、これがかなり助かるはずです。
5種のEQカーブ搭載。視覚的に操作できるハイブリッドEQ
第2位:WAVES Q10 Equalizer

WAVESの超定番パラメトリックEQです。 10バンドのパラメトリックEQで、各バンドを自由に設定できます。
見た目は地味ですが、ミックスの現場では「とりあえずQ10」と言われるくらい信頼されているプラグインです。 不要な帯域をカットする「掃除用EQ」として使うのが定番で、ボーカルのローカットやギターの中低域の処理に重宝します。

微妙な点を言うと、Q10にはアナライザー表示がありません。 周波数カーブを目で見ながら調整したい人はH-EQのほうが向いています。 Q10は「耳で聴いて調整する」タイプのプラグインです。
10バンド搭載の定番パラメトリックEQ。掃除用に最高
第3位:WAVES GEQ Graphic Equalizer

30バンドのグラフィックイコライザーです。 ステレオ/モノの切り替えができて、マスタリングやバス処理にも使えます。
パラメトリックEQと違って「この帯域をこのくらい上げ下げ」とスライダーで操作するので、感覚的にわかりやすいです。 ライブハウスのPAさんが使っているイコライザーと同じ方式なので、バンド経験がある人には馴染みやすいかもしれません。

ただ、ミックスの細かい処理にはパラメトリックEQのほうが向いています。 GEQはマスタートラックやドラムバスの最終調整に1つ挿す、くらいの使い方が多いです。
30バンドのグラフィックEQ。マスタリングやバス処理向き
第4位:WAVES eMo Q4 Equalizer パラグラフィックEQプラグイン

4バンドのパラグラフィックEQです。 「パラグラフィック」というのはパラメトリックとグラフィックの中間みたいなもので、シンプルな操作で素早く音を調整できます。
CPU負荷がとにかく軽いので、全トラックに挿しても余裕です。 ミックス中に「ちょっとだけ低域を削りたい」みたいなサッとした処理に向いていて、使い始めたらすべてのトラックにeMo Q4を挿すようになりました。

4バンドしかないので凝った処理には向きません。 あくまで「軽い処理をたくさんのトラックに掛ける」ための道具です。 繊細な作業にはH-EQやQ10を使いましょう。
WAVES eMo Q4 Equalizer パラグラフィックEQプラグイン
超軽量4バンドEQ。全トラックに挿しても負荷ゼロ
第5位:UNIVERSAL AUDIO Pultec Passive EQ Collection プラグインソフト

アナログEQの名機「Pultec EQP-1A」「MEQ-5」「HLF-3C」の3台をプラグイン化したコレクションです。 パッシブ回路ならではの、滑らかで温かい音の変化が特徴です。
Pultecには独特の「Boost/Attenuation同時操作」という技があって、同じ周波数をブーストとカット同時にかけると、不思議な音の太さが出ます。 ボーカルやベースに掛けると「音に芯が出る」感覚があります。

ぶっちゃけ、Pultecは「通すだけで音が良くなる」と言われるプラグインです。 EQ操作をしなくても、信号を通すだけで微妙に倍音が加わって音がリッチになります。 それだけでも持っている価値はあるかなと。
UNIVERSAL AUDIO Pultec Passive EQ Collection プラグインソフト
名機Pultecの3台セット。通すだけで音がリッチに
EQをミックスで使うときのコツ
EQは「足す」よりも「引く」のが基本です。 ブーストする前に、まず邪魔な帯域をカットするほうがミックスは綺麗になります。
- まず不要な帯域をカットしてからブーストを考える(引き算ミックス)
- ハイパスフィルターはほぼ全トラックに入れる(ベースとキック以外)
- EQで音を変えるときは、他のトラックと一緒に鳴らしながら判断する
- ソロで聴くと良い音でも、オケの中で聴くと馴染まないことが多い
わからないうちはプリセットを読み込んで、そこから微調整するのが近道です。 「Vocal Bright」「Guitar Body Cut」みたいなプリセットが大体のEQに入っているので、それを基準に自分好みに変えていく方法が効率的です。
使い分けに迷ったときのパート別イコライザー早見表
ドラム → Q10で不要な帯域を細かくカット。スネアの200Hz付近のモコモコ感を削る
ベース → Pultec EQで低域を太くする。100Hz付近をブーストすると芯が出る
ギター → eMo Q4でサッと中低域を整理。500Hz付近のこもりを軽くカット
マスター → GEQで全体のバランスを微調整。大幅には動かさない

正直、最初はEQの違いがよくわからないと思います。 僕も最初は全部同じに聴こえてました。 でも何十曲もミックスしていると「あ、このトラックにはQ10よりH-EQだな」と自然にわかるようになってきます。
●宇佐美DTMや音楽機材を中心に執筆しているライターです。 今回は楽器店スタッフやミックスエンジニアへの取材をもとに、イコライザープラグインの選び方を整理しました。 筆者自身もリサーチの中でPultecの「通すだけで変わる」感覚を改めて確認できました。


