建築でいう額縁(がくぶち)とは、窓やドアなどの開口部のまわりに室内側から取り付ける、細長い化粧の枠のことです。絵を入れる額縁と同じ字ですが別の物で、壁紙や石こうボードの切り口を隠し、サッシやドアの枠と壁の境目をきれいに見せる「見切り材」の役目をします。ここでは、インテリアのアドバイザーとして、額縁の役目、窓・ドア・点検口の額縁を品目ごとに、各部の名前と寸法、材質、絵の額縁との違い、補修に向く3点、よくある疑問の順に書きます。
額縁の役目。枠と壁の境目を隠す
家の壁は、柱の上に石こうボードを張り、その上に壁紙を貼って作ります。窓やドアの穴のところではボードと壁紙の切り口がむき出しになるので、その切り口にかぶせて隠し、サッシやドア枠との段差をなだらかにつなぐのが額縁の役目で、額縁がないと切り口がそのまま見え、壁紙の端がめくれてきます。壁を仕上げたあとに最後に取り付ける部材なので、家の中で目に付く木部のほとんどが額縁と巾木(はばき)です。
窓の額縁。サッシの室内側に4方または3方
窓の額縁は、アルミや樹脂のサッシの室内側に取り付ける枠です。上下左右の4本で囲む「四方額縁」と、下だけ窓台にして上と左右の3本で囲む「三方額縁」があり、住宅では下を出っ張らせて小物を置ける三方額縁が多く、ビルでは四方額縁が標準です。下の額縁は「窓台」「膳板(ぜんいた)」と呼ばれ、日が当たり結露も付くので、他の3本より傷みやすい部分です。木造住宅ではサッシの枠と額縁が一体になった「一体枠」もあり、その場合は額縁を別に付けません。
ドアの額縁。ケーシングとも呼ぶ
ドアの額縁は、ドアを支える「建具枠」の室内側に付ける化粧の枠で、洋室では「ケーシング」と呼びます。建具枠はドアの重さを受ける構造の部材、額縁(ケーシング)はその外側で壁との境目を隠す化粧の部材と役目が分かれていて、ケーシングを付けない「固定枠」の納まりでは、建具枠の縁を壁から少し出して、その段差で壁紙の端を止めます。ケーシングは表面に溝や丸みの飾りが付いた物が多く、部屋の印象を決めるので、ドアの色と合わせて選びます。
点検口・ニッチ・窓のない開口の額縁
額縁が付くのは窓とドアだけではありません。天井や壁の点検口、壁をくぼませた飾り棚(ニッチ)、部屋と部屋をつなぐドアのない開口、カウンターの立ち上がりなど、壁紙の切り口ができる所すべてに額縁か見切り材が付き、部屋の中で「壁と何かの境目」を見たら、そこに額縁があると考えて間違いありません。ドアのない開口は「開口枠」「垂れ壁の額縁」と呼び、4方を囲むと部屋がつながって見え、囲まないと壁が途切れて見えます。
各部の名前。見付け、見込み、チリ
額縁の寸法を言うときは、3つの言葉を使います。「見付け(みつけ)」は正面から見える幅で木造住宅では20〜21mm、ビルでは25mmが標準、「見込み(みこみ)」は壁の厚さ方向の奥行きで壁の厚さに合わせて決め、「チリ」は額縁が壁の面からどれだけ出っ張るかで、住宅の一体枠では0mm、ビルでは15mmが多く、チリがあると壁紙の端が見えにくく、0mmだと壁と面が合ってすっきり見えます。リフォームで額縁を替えるときは、この3つの寸法を先に測っておくと、部材を注文するときに困りません。
| 言葉 | 意味 | 目安の寸法 |
|---|---|---|
| 見付け | 正面から見える額縁の幅 | 住宅20〜21mm、ビル25mm |
| 見込み | 壁の厚さ方向の奥行き | 壁の厚さに合わせる(100〜150mm) |
| チリ | 壁の面から額縁が出る量 | 住宅0mm、ビル15mm |
| 窓台(膳板) | 窓の下の額縁 | 見付けを広くして物を置ける |
材質。木、シート貼り、金属、樹脂
額縁の材質は4つに分かれます。木は一番多く、無垢材や集成材に塗装した物で木ビスで留め、MDFに木目のシートを貼った「シート貼り」は今の住宅の主流で色が均一で安く、スチールやアルミ、ステンレスは強さが要る店舗や工場、ガレージで使い、樹脂は浴室など水がかかる所に限って使います。木の額縁は日焼けや欠けが出たら塗り直しやパテで直せますが、シート貼りはシートがはがれると下のMDFが見えるので、上から別のシートを貼って直します。
| 材質 | 使う所 | 直し方 |
|---|---|---|
| 木(無垢・集成材) | 住宅全般 | パテで埋めてステインで塗り直す |
| シート貼り(MDF) | 今の住宅の主流 | 上から化粧フィルムを貼る |
| スチール・アルミ | 店舗、工場、ガレージ | 業者に頼む |
| 樹脂 | 浴室、洗面 | 交換 |
絵の額縁との違い。囲むのは同じ、役目が違う
絵の額縁と建築の額縁は、どちらも「四角い物を枠で囲む」点は同じです。絵の額縁は絵を守って飾るための物で壁に掛け、建築の額縁は壁の切り口を隠して枠と壁をつなぐための物で壁に固定され、絵の額縁は取り外せますが建築の額縁は家の一部で、リフォームで交換するときも壁紙を一度はがすことになります。建築の現場で「額縁」と言えば開口部の枠のことで、絵の額縁を指すことはないので、リフォームの打ち合わせで出てきたら開口部の枠の意味で受け取ってください。
額縁の補修に向く3点
木の額縁の欠けや日焼け、シート貼りのはがれを自分で直すときの3点を選びました。価格は2026年9月19日時点のAmazonの表示です。
3M ダイノックフィルム 木目調 WG-1221
シート貼りの額縁がはがれたとき、上から貼り直す化粧フィルムです。3Mの木目調の塩ビフィルムで、幅122×長さ100cm、裏がのり付きで貼るだけ、耐水と防火の性能があり、スキージー(貼るときのへら)が付いて、価格は約5,492円です。建築の現場でも使われる物なので、元の額縁と同じ質感で直したい人に向きます。
セメダイン 木工パテA ラワン 120ml HC-154
木の額縁の欠けやくぎ穴を埋めるパテです。木の色(ラワン)に近い水性のパテで、へらで埋めて乾いたら紙やすりで削れ、上から塗装もでき、120mlで額縁の欠け10か所ほど直せて、価格は約727円です。窓台の角の欠け、ドアの額縁のくぎ穴を目立たなくしたい人に向きます。
アサヒペン 水性ステイン 300ml オーク
日焼けした木の額縁を塗り直すステインです。木目を消さずに色を付ける水性の塗料で、におい控えめ、シックハウス対策品、300mlで額縁なら窓3〜4か所分塗れて、色はオークで、価格は約1,014円です。パテで埋めたあとに色を合わせたい人、窓台の日焼けを目立たなくしたい人に向きます。
よくある疑問
| 疑問 | 答え |
|---|---|
| 額縁と枠は同じ? | 違う。枠はドアやサッシを支える構造の部材、額縁はその外側の化粧の部材 |
| 額縁のない家もある? | ある。サッシと一体の枠や、固定枠で壁紙を巻き込む納まりでは額縁を付けない |
| 窓台に物を置いてよい? | よいが、鉢など水が付く物は結露と合わせて木を傷めるので受け皿を置く |
| 額縁の色は変えられる? | 木ならステインや塗料で塗り直せる。シート貼りは上からフィルムを貼る |
| 額縁だけ交換できる? | できるが、壁紙の端を一度はがして貼り直すので、壁紙の張り替えと一緒にするのが普通 |
| 見付けを広くすると何が変わる? | 額縁が目立って重厚に見える。細くすると壁と一体に見えてすっきりする |
建築の額縁とは、窓やドアなどの開口部のまわりに室内側から付ける化粧の枠で、壁紙やボードの切り口を隠し、枠と壁の境目をつなぐ部材です。窓は四方か三方の額縁、ドアはケーシング、点検口やニッチにも付き、寸法は見付け・見込み・チリの3つで表し、材質は木、シート貼り、金属、樹脂の4つに分かれます。リフォームの打ち合わせで額縁の話が出たら、まず家の窓の額縁の見付けとチリを定規で測って、今の納まりがどれかを確かめてください。
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
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