ミックスを始めて最初にぶつかる壁が「コンプレッサーの使い方がわからない」だと思います…と言いたいところですが、自分の場合はそもそもコンプの存在自体を知りませんでした。 ここではミックスの必需品であるコンプレッサープラグインを5つ紹介します!
コンプレッサーで音が変わった瞬間の話
初めてコンプレッサーをボーカルに掛けたとき、「あれ、なんか声が前に出てきた?」と感じました。 それまではオケに埋もれていたボーカルが、コンプを掛けるだけで存在感が増したんです。

コンプレッサーは音量の大小の差を縮めてくれるエフェクトです。 小さい音を持ち上げて大きい音を抑えるので、全体が聴きやすくなります。
コンプにはFET系、光学式、VCA系などいくつかタイプがあって、それぞれ音の掛かり方が違います。 FET系は反応が速くてアタックがパキッと出る、光学式はゆっくり掛かるので自然な仕上がりになる、という違いがあります。
光学式(Opto):ゆっくり滑らかに掛かる。ボーカルやベースの自然な整え方に向く
VCA系:正確でクセが少ない。バスコンプやマスターに向く
デジタル系:万能。プリセットが豊富で初心者にも扱いやすい
コンプレッサープラグインのおすすめ5選
第1位:WAVES CLA-76 Compressor/Limiter

名機UREI 1176をモデリングしたFET系コンプレッサーです。 ボーカルに掛けた瞬間「声が前にグッと出てくる」感覚があって、もうこれなしではミックスできなくなりました!!!
アタックとリリースのノブを回すだけで音が劇的に変わるのが面白いです。 ドラムのスネアに掛けるとパシッとした存在感が出るし、ボーカルに掛ければ抜けの良い声になります。

ただ、効きが強いので掛けすぎるとすぐ音が潰れます。 最初はReductionメーターを見ながら-3dB〜-6dBくらいに抑えるのがコツです。
WAVES CLA-76 Compressor/Limiter
1176モデリングのFET系コンプ。ボーカルやドラムに最高
第2位:UNIVERSAL AUDIO dbx 160 Compressor Limiter プラグインソフト

VCA系コンプレッサーの名機dbx 160のプラグイン版です。 操作がシンプルで、Threshold、Compression、Output Gainの3つのノブだけで完結します。
ドラムバスに挿して使ってみたら、バラバラだったキック・スネア・ハイハットのバランスが一気にまとまりました。 音にパンチが出るのに、変に潰れた感じがしないのが良いです。

Universal Audio製品はUADプラットフォーム限定のものが多かったのですが、最近はネイティブ版も出ています。 購入前にネイティブ対応かどうか確認しておくと安心です。
UNIVERSAL AUDIO dbx 160 Compressor Limiter プラグインソフト
VCA系の名機。ノブ3つのシンプル操作でドラムに最高
第3位:WAVES CLA-3A Compressor/Limiter

光学式(Opto)コンプレッサーの名機LA-3Aをモデリングしたプラグインです。 CLA-76と比べると掛かり方がゆっくりで、音を自然にならしてくれます。
ボーカルに使ってみたところ、声の大小がスッと整って聴きやすくなりました。 76のようなパンチ感はないですが、「コンプ掛けてる感」が出にくいのが良い点です。 アコースティックギターやピアノなど、ダイナミクスを残したい楽器にも向いています。

正直、CLA-76とCLA-3Aの違いが最初はよくわかりませんでした。 でも何曲かミックスしていると「あ、この曲は3Aのほうが合う」と感覚的にわかるようになります。
WAVES CLA-3A Compressor/Limiter
光学式コンプの名機。自然で滑らかな掛かり方が特徴
第4位:WAVES Renaissance Compressor

WAVESの中でも特に歴史の長いコンプレッサーです。 Opto(光学式)とElectro(電子式)の2モードを切り替えられるので、1つで2タイプのコンプが使えます。
使ってみた印象は「とにかくクセがない」です。 どんなソースに掛けてもそれなりにまとまるので、迷ったときに「とりあえずRCompを挿しておこう」という安心感があります。

裏を返すと「個性がない」とも言えるので、音にキャラクターを付けたいときには物足りないかもしれません。 万能選手だからこその弱点ですね。
Opto/Electroの2モード搭載。クセのない万能コンプ
第5位:WAVES API 2500 バスコンプレッサー

API 2500はバスコンプとして定番の機材をプラグイン化したものです。 ドラムバスやミックスバスに挿して、全体をまとめる使い方が王道です。
ドラムバスに掛けてみたら、個々のパーツが1つの楽器みたいにまとまって聴こえるようになりました。 「グルー(糊)コンプ」と呼ばれるだけあって、バラバラの音をくっつけてくれる感覚があります。

個人的には、API 2500はドラムバスよりもミックスバスに軽く掛けるほうが好みです。 曲全体にほんのり一体感が出て、仕上がりがプロっぽくなります。
バスコンプの定番。ドラムやミックスバスのまとめ役
用途別に迷ったときの選び方
5つのコンプを紹介しましたが、「結局どれを買えばいいの?」という方のために、用途別の早見表を作りました。
| 用途 | おすすめコンプ | 理由 |
|---|---|---|
| ボーカルを前に出したい | CLA-76 | FETの速い反応で声にパンチが出る |
| ボーカルを自然に整えたい | CLA-3A | 光学式のゆっくりした掛かりが自然 |
| ドラムにパンチを出したい | dbx 160 | VCA系の正確な動作でキレが出る |
| 何にでも使いたい | Renaissance Comp | クセがなく万能 |
| ミックス全体をまとめたい | API 2500 | バスコンプとしての一体感が抜群 |

迷ったらCLA-76とRenaissance Compの2つから始めるのが無難です。 この2つがあればほとんどの場面をカバーできます。
ミックスでコンプを使うときに意識したいこと
コンプレッサーは「掛ければ掛けるほど良くなる」ものではないです。 むしろ掛けすぎて音が死んでしまうケースのほうが多いので、以下のことを意識しておくと良いです。
- コンプを掛ける前と後で音量を揃えて比較する(Gainの補正を忘れずに)
- Reductionメーターを見て、どれくらい圧縮しているか数値で確認する
- 「良くなった気がする」ではなく「具体的にどう変わったか」を言葉にする
- 迷ったらバイパスして聴き比べる
ぶっちゃけ、コンプの使い方は座学だけでは身につかないです。 実際に色んなソースに掛けてみて、耳で覚えていくしかありません。 最初はうまくいかなくても、数をこなすうちに「この音にはFET系」「こっちは光学式」と感覚的にわかるようになります。
●宇佐美音楽機材やDTM関連を中心に執筆しているライターです。 今回はミックスエンジニアや音楽スクール講師への取材をもとに、コンプレッサーの選び方を整理しました。 筆者自身もリサーチの過程でCLA-76とCLA-3Aの使い分けを再確認できました。


