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1 調査研究の背景と目的

1-1. 調査研究の背景

鳥取大学地域学部では、平成17年度「鳥取県における芸術文化による空間資源の利活用に関する調査研究」(「鳥取県高等教育機関『知の財産』活用推進事業調査研究」)を実施し、鳥取県内とりわけ東部、中部地区で現在使用されていない施設等の所在情報や施設概要等およびそれらを活用する場合の課題について調査を実施した。
 さらに、かつての空き施設を文化等の目的ですでに転用している事例についても、活用にいたる経緯、事業主体、活動内容等について調査を行った。主として鳥取県東部地域において、オールタナティブスペースとして活用されている事例と、今後活用できる可能性を持った低未利用空間を、不完全ながらもリストアップすることができた。あわせて海外の先進的事例や国内他都市における事例についても調査を行った。昨年度の研究成果は「オールタナティブスペースの創出へ向けて―鳥取県における芸術文化を通じた空間資源の活用に関する調査研究―」と題した報告書にまとめられている。
 今回の調査研究「鳥取県におけるオールタナティブスペースを活用した文化創造拠点形成に向けた調査研究」は、こうした、いわば基礎調査である平成17年度の調査結果をふまえ、さらに一歩踏み込んで、特定の施設で芸術文化イベントを実施して、このイベント実施を通して、オールタナティブスペースの文化的活用の効果や課題を具体的に明らかにする必要に応えようとしたものである。

1-2.調査研究の目的

 本調査は、すでに本来的な役割を終えたと考えられて現在使用されていない施設・空間(低未利用空間)に着眼して、そうした施設で創造的な芸術文化のイベントを実施することにより、それらの施設に新たな命を吹き込み、よみがえらせ、本来の設置目的とは違った「姿・空間」(=オールタナティブスペース)を出現させることにおいて、こうした活動が市民の自主的で継続的な文化活動を誘発、促進し、さらに、地域に眠る文化資源の掘り起こしやその活用を促し、文化の持つ創造性を活かした地域再生に資するという目的で実施された。

2. 調査対象と調査方法

 具体的には、現在使われていない施設の中から立地条件、施設内容・規模、建物の魅力などの観点からいくつかの施設を選び、これらを市民主導による継続的な文化創造拠点として形成していくための課題や仕組みを明らかにする。
さらに、特定の施設で、一定の質を担保した文化イベントを一定期間にわたり継続的に開催する。その際、広く県外にも広報を行い、鳥取発の文化イベントとして集客を図る。このイベント実施を通して、オールタナティブスペースの文化的活用の効果や課題を具体的に明らかにする。
 

2-1.調査対象

本調査研究は、鳥取における新たな文化創造拠点の形成の可能性を検証するものであるが、とりあげる施設としては、立地条件、施設内容、施設規模、建築物としての価値、及び、そこを会場として実施するイベントが円滑に実現できるか否か等を判断基準として以下の6カ所(4イベント)とした。これらの施設を活用することで地域の活性化や鳥取からの文化情報発信や観光促進などの効果が期待できるものと考えた。

〈本調査研究でとりあげた施設及び実施イベント〉
〔1〕旧鹿野小学校(鳥取市鹿野町鹿野)外:廃校(鳥取市所有)の活用:「鳥の劇場」
〔2〕旧勝谷小学校(鳥取市鹿野町宮方):廃校(鳥取市所有)の活用:「野口体操を基にしたダンス・ワークショップ」
〔3〕鳥取市鹿野町総合支所(旧鹿野町庁舎):「野口体操を基にしたダンス・ワークショップ」
〔4〕八東体育文化センター(八東町文化施設)(八頭町富枝):「野口体操を基にしたダンス・ワークショップ」
〔5〕高田酒造倉庫(倉吉市仲ノ町):民間所有施設の活用:「DOZO de Live at Home Vol.
1 門脇大輔 Jazzy Live」(ジャズ・ライブコンサート)
〔6〕高砂屋(旧池内邸。城下町とっとり交流館):鳥取市所有施設の活用:現代美術「藤本由紀夫展」の展示及び講演会

2-2.調査対象施設及び実施イベントの選定に当たって

 調査実施に当たっては、事前に予備的な検討を加えた。
 上記施設について、施設の所在自治体と調整のうえ、施設オーナーへのヒアリングを行い、オールタナティブスペースとしての活用可能性があるかどうか、また可能な場合の条件などを、以下の観点から検討した。
・施設内容とそこに適した文化イベントのジャンル
・活用した場合の効果予測(文化創造、情報発信、地域活性化、観光振興等)
・施設を活用する際の制約条件(建築構造、施設内容、周辺環境等)
・事業運営主体や運営システムのあり方
 イベントを企画するに当たっては、自治体や地元組織等と相談しながら、より効果的な実施が期待できる企画を目指した。また、企画段階から鳥取大学学生を参加させ、イベント終了時まで継続して役割を担わせることも、目指した。
 イベントの内容については、本調査研究の目的をふまえると次の条件を満たす必要があると考え、そうした条件下で選定した。
(1)県外、国外のアーティストなどが鳥取に注目するようになるなど鳥取からの文化情報の発信と鳥取のイメージアップとなるもの
(2)県内のアーティストやクリエーターの創作意欲を喚起するなど活性化につながるもの
(3)特に若者の心を引きつける内容のもの
(4)自己充足型の地域住民による発表会ではなく、プロやプロの卵による質の高い内容のもの
(5)集客や経済効果、若者のUターン促進など地域活性化につながるもの
(6)周辺住民、特に地域の子供達にとって長く記憶に残るような印象深い内容のもの(テレビ視聴では体験できないもの)
(7)予算をあまりかけない持続可能な内容のもの(しかし質の高さは維持する)

 以上の条件から、施設が選定され、文化イベントとしては、現代演劇、ダンスワークショップ、ジャズライブ、現代美術の展示及び講演が選定された。

2-3.調査方法

 上記のようにオールタナティブスペースの活用対象として施設及びイベントを選定し、主催者及び実行委員会の核(共催)としてイベントの実施に当たったが、現代演劇(「鳥の劇場」)の場合は、後に述べるように、本調査研究の趣旨とも合致した活動をすでに展開していることから見て、共催として当該イベントの公演にかかわった。
 調査方法については、現代演劇を除く事業に当たっては、施設及びイベントの選定からイベントの実施、検証にいたるまで実質的に企画運営実施主体として行ったのであるから、その実施主体としての立場から自己評価し、検証した。
 現代演劇については、公演を実地検証するとともに、ヒアリングを実施した。
 外部評価としては、イベントを通じて参加者全員にアンケートを実施し、成果を検証した。調査項目は、住所、移動交通手段、性別、年代、周知経路、施設・事業内容・運営に関する感想、継続して参加する意思、企画運営への参加意思、イベント時の消費金額などである。また、イベントに関する新聞記事やテレビでの情報紹介などのパブリシティも計測した。

3.オールタナティブスペースの創出に向けた活用事例の成果と課題

 以下、今回の調査で取り上げた活用事例をほぼ時系列に沿って事例ごとに取り上げ、その成果と課題について検証する。

〈本調査研究でとりあげた施設及び実施イベント〉
〔1〕旧鹿野小学校(鳥取市鹿野町鹿野)外:廃校(鳥取市所有)の活用:「鳥の劇場」
〔2〕旧勝谷小学校(鳥取市鹿野町宮方):廃校(鳥取市所有)の活用:「野口体操を基にしたダンス・ワークショップ」
〔3〕鳥取市鹿野町総合支所(旧鹿野町庁舎):「野口体操を基にしたダンス・ワークショップ」
〔4〕八東体育文化センター(八東町文化施設)(八頭町富枝):「野口体操を基にしたダンス・ワークショップ」
〔5〕高田酒造倉庫(倉吉市仲ノ町):民間所有施設の活用:「DOZO de Live at Home Vol.
1 門脇大輔 Jazzy Live」(ジャズ・ライブコンサート)
〔6〕高砂屋(旧池内邸。城下町とっとり交流館):鳥取市所有施設の活用:現代美術「藤本由紀夫展」の展示及び講演会

上記活用事例を施設が立地する条件等で区別すれば以下のようになる。
1〔2〕〔3〕〔4〕の使用施設は、平成16年の市町村合併以前を考慮に入れれば「中山間地に位置する公共施設であり、〔4〕は「市街地」に位置する民間所有施設である。
〔6〕は「市街地」に位置する公共施設である。
さらに施設の特性を指摘すれば、〔1〕〔2〕は廃校、〔4〕は歴史的な雰囲気をたたえる商業施設、〔6〕は旧商家である。

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